Feb 19, 2010

フィギュア男子フリー観戦記 ~彼も人間だった~

昨日のその後のお話です。

あのブログを上げた(もちろんiPhoneで)時は第3グループ前の整氷中。その後、氷上での熱い戦いはクライマックスを迎えました。

ちなみに見ていた席は2階席のかなーり上のほう。これでも定価$160という、昨年の四大陸とはケタ違いのお値段(あの時なんて一番前だったのにそれでもよ)。1階席なんて何百ドルしたことか・・・ウィスラーと違ってこの会場には毛皮を着た優雅な方々のお姿が多いと私たちボランティアスタッフの間でももっぱらの噂です。

さて。第3グループでは小塚選手がトップバッターで素晴らしい滑り。そしてその後カナダの星、パトリック・チャンが前日の不振を払拭するような会心の滑り。ここで会場には早くもスタンディングオベーションが。

そしていよいよトップがしのぎを削る第4グループ・・・駆け足ダイジェストでお送りします。

まずはライサチェク。全てのジャンプをミスなくまとめ、160点台後半という高得点に会場どよめき。そして織田選手。軽快なチャップリンメドレーに乗せてお客さんを上手くノセていたのですがまさかのハプニング・・・その前のジャンプで手を着いていたので、一瞬怪我かと思ったけど、靴ひもが切れていたのでした。会場もシン・・・と静まり返りましたが、彼が再びリンクに現れると会場全体から手拍子が起こり、彼のプログラムを最後まで支えました。点数は思ったほど伸びなかったけど、会場の暖かさがこの日一番感じられた瞬間でした。そして帰ってきたランビエール(彼一昨年に一度引退しましたね)。彼にとっては納得のいかない結果だったかもしれないけど、キレのいいスケーティングは相変わらずでした。でも爆発力がなかったか。そして高橋選手。出だしの4回転で転倒!あ~っ、と思ったけどその後は意外なほど落ち着いていて、プログラムにぐんぐん乗っていった様でした。曲調が明るく変わる辺りから観客も一気に引き込まれていきます。そしてフィナーレ。スタンディングオベーションは思ったほど起こらなかったけど、本人はとても満足そうな表情。お次はフィギュア界のLady Gagaこと(?)ジョニー・ウィア。前日のピンクのフリルの衣装にもそりゃー度肝を抜かれたけど、今日はスパンコールでキラキラのヒラヒラのスワン。それと本人の涼しい表情がなんともまた好対照。プログラムは彼らしくエレガントに、そしてミスなく完璧に決まりました。本人も感極まって氷に突っ伏します。なのにチャンよりも低い点(FP6位)に、会場も本人も大ブーイング。・・・そしていよいよ超人・プルシェンコ。序盤いきなり4回転3回転のコンビネーション。ちょっとふらついたけど決まった!しかし今日のプルシェンコ、なんだかずっとグラついている。安定感がない。一度も転びはしなかったけどしかしそのまま滑りきり・・・判定の瞬間。会場は固唾を呑んで・・・FP2位、合計点もライサチェクに及ばない!こうして最後の最後でまさかのプルシェンコ銀という結果に会場大いに驚きのまま、オリンピックの男子シングルは幕を閉じたのでした。


さて。
フィギュアスケートを生で見るのとTVで見る時との大きな違いは、スピード感。テレビカメラは選手の動きを追ってしまうので、スピード感を感じにくいのですが、生で観るとリンク上の動きが良く分かります。特に上位に来る選手とそうでない選手のスピードは全く違う!やっぱり本当に上手い選手は技もこなすし、そして速い。躍動感がやっぱり違います。

それを踏まえて私の「生の」見た目でメダリスト達の滑りをsubjectiveに書くなら・・・


金のライサチェクは確かに全てのエレメントをミスなく滑ったのですが、全体的にはスピードがありませんでした。プルシェンコと比べてどうと言うより、多分昨日の滑りは彼自身のベストではなかったと私は思います。ライサチェクは割と波のある選手で、コケる時はコケまくって自滅するけど、乗ってるときは見るものを惹きつける爆発力ってものがあります。でも昨夜はそれはなかった。無難に滑っていた印象です。だからあの点数にはちょっと驚いた。そしてその後に続く選手達がどうなるかと思っていたけど・・・

銀のプルシェンコ。彼はもはや人間ではなく、どんな難しいジャンプもミスなくこなすマシーンで、その上セクシーな究極のエンターティナーと確信していたのですが・・・昨日の彼はどうやらやはり人だったようです。4回転を含めてジャンプは全てどうにか決めたけれどもどれも安定感がなく、トリプルジャンプもかなり傾いていたし(それでもちゃんと着地してしまうところがまた彼の凄さでもあるのだけど)、プログラム全体で言えば、昔の彼の、見る者を圧倒する凄さってものが影を潜めていました。銀になったことがと言うよりも、往年の「凄いプルシェンコ」はもう見られないのだということが、残念でならない事実でした。

そして銅の高橋選手。4回転は彼の誇りであり、精一杯のチャレンジだったのでしょう。ただ、上位2人の出来からすれば、もしこれを回避してトリプルでも完璧に決めていたらもしかしたら違う色のメダルを取れていたかも・・・。でもこれは結果論で、やっぱり本人の、果敢に4回転にチャレンジしたその心意気を尊重するべきと思います。そしてその後の彼は、彼自身の滑りの力で、見ているお客さんを存分に魅了していました。日本人だから応援したい気持ちを差し引いても、この夜一番グッときた滑りは、このプログラムを心から楽しんで表現しきっていたこの彼の滑りに他なりません。


金になったライサチェク本人にも、もしかしたらこの結果は意外だったのかもしれないと思わせられたのは、金が決まった瞬間の表情でした。滑りきってもぎ取った、昨年の世界選手権で優勝した時の彼は周囲も憚らずにワンワン泣いていましたよね。今回は、一瞬「え?ホントに?」て感じの間があって、笑顔でしたもんね。


プルシェンコは4回転を回避した金メダリストの誕生を心から嘆いているようですが、やっぱり見ている方には、滑っている人と楽しめたプログラムが一番心に残ります。

カナダの元フィギュアスケーター、オリンピック銀メダリストのエルビス・ストイコが興味深いコラムを書いています。

ちょっと痛烈だけど、ライサチェクの昨夜の滑りはオリンピックの金メダリストとなるには相応しいものではなかったと。4回転に挑戦しない者を金メダリストにする今のジャッジングシステムへの批判という点はプルシェンコの不満と一緒ですが・・・(私はそこまで4回転とは思わないけど)・・・興味深いのはその他のスケーターへの意見。彼自身はジョニー・ウィアのファンでは決してないけど、昨夜の点数はその情熱溢れるパフォーマンスに対してあまりにも酷いものだったということ。そして(彼自身がファンである)小塚選手へはもっと点を出してもいいはずだったとも言っています。

とにかくオリンピックという場所は、誰もが期待するような結果が決して出ない場所であり、また、アスリートが持てる力を出し切るのも本当に難しい、特別な場所なのだということ。

それでも昨夜は超一流のエンターテインメントを見せてもらったし、やっぱり4年に一度のこの場は誰にとっても特別なのだということをしみじみと感じた一夜でした。これを生で観ることができたことに本当に感謝します。(チケットを当ててくれた友人のおかげ!)

では最後に会場からの写真。これは最終グループ登場前のシーン。

そして表彰式後に記念撮影に応じるライサチェクと高橋君。これがこの日のコンデジ(しかもてっぺんの席から)での限界。プルシェンコが写ってなくてごめんなさーい!

一番目立ってるのはキラキラジョニー☆

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2 comments:

Yuka said...

こんにちは。
オリンピック、盛り上がっていて、どこへ行っても人、ひと、ひと!ですね。

ところで、コメント、フィギュアとは全然関係なくて、もうしわけないのですが、今日、犯罪証明を取りにいったらオッケーオッケーおじさまでした。この方か!と思って、笑いをこらえるの、必死でした。

orange said...

>Yukaさん

ダウンタウンはすごい人らしいですねー。ウィスラーにいる私には「へぇ~」って感じなのですが、街中が原宿になっちゃった感じ?とか(?)

あー、あの領事館のオッケーオッケーおじさま、今でもはっきり覚えてますよー。キョーレツですもの。